AI ソフトウェア 公開日 2026.04.26 更新日 2026.04.27

AIコーディングで設定すべきものは?mdファイル・memory・rulesの使い分け

AIコーディングツールで何を設定すべきかを、mdファイル、memory、rules、毎回のプロンプトの役割に分けて整理します。どこに何を書くべきか、ツール別の違い、よくある失敗まで実務寄りにまとめた記事です。

先に要点

  • AIコーディングで設定すべきものは、ざっくり 毎回のプロンプト / プロジェクト用のmdファイル / rules / memory の4層です。
  • AGENTS.mdCLAUDE.md のような md ファイルは、プロジェクトの前提 を置く場所です。
  • Rules は 適用条件つきで強く効かせたい指示、memory は 繰り返し使う個人や継続的な好み に向いています。
  • 何でも1か所に詰めると効きが悪くなりやすいので、どこに何を書くか を分けておく方が運用しやすいです。

AIコーディングツールを使い始めると、AGENTS.md を置くとよいCLAUDE.md を書くCursor Rules を作るmemory を使う といった話が一気に出てきます。
でも実際には、これらは全部同じものではありません。

雑に言うと、毎回その場で伝える話プロジェクトに常設する話条件つきで適用したい話個人の繰り返しの癖 が混ざりやすいです。
そこが混ざると、AIが守ってほしい前提を外したり、逆に細かすぎるルールで毎回の作業が重くなったりします。

既にある AIコーディングで使うmdファイルとは?AGENTS.md・CLAUDE.md・指示書の役割を整理mdファイルそのもの の記事だとしたら、今回は 何をどこに置くべきか に寄せます。

まず結論: 設定すべきものは4層で考える

最初に全体像を固定すると、整理しやすくなります。

置き場 向いている内容
毎回のプロンプト 今回だけの目的、優先順位、締切、判断軸 `今日は調査だけ` `本番反映はしない`
mdファイル プロジェクト概要、ディレクトリ構成、開発コマンド、危険箇所 AGENTS.mdCLAUDE.md
rules 特定ファイルや条件でだけ強く効かせたい指示 Cursor の Project Rules、GitHub Copilot の `.instructions.md`
memory 継続的に使う個人の好み、繰り返しの作法 説明は短め、テストを最後にまとめる、など

この4つは、全部を同じ箱に入れるのではなく、役割を分ける方がうまく回ります。

mdファイルは「プロジェクトの前提」を置く

mdファイルに向いているのは、毎回同じ説明をしたくないプロジェクト前提です。

たとえば次のようなものです。

  • リポジトリの目的
  • 主要ディレクトリの役割
  • よく使うテストコマンド
  • デプロイ手順の入口
  • 触ると危険なファイルや本番系の注意
  • 命名規則やレビュー時の基本姿勢

OpenAI の Codex 公式ドキュメントでは、Codex は作業前に AGENTS.md を読み、グローバル指示とプロジェクト配下の指示をレイヤーとして扱うと説明されています。
AnthropicClaude Code 公式ドキュメントでも、CLAUDE.md を project memory として使い、チーム共有の前提を置く形が案内されています。

つまり md ファイルは、今回だけの指示 ではなく このプロジェクトではだいたい毎回必要になる前提 を置く場所です。

rulesは「条件つきで強く効かせたい指示」を置く

Rules は md ファイルより細かく、適用条件を持たせやすいのが特徴です。

たとえば次のような場面です。

  • app/Payments/** に入ったら決済系の手順を強く出したい
  • *.sql を触るときだけ migration と rollback の確認を入れたい
  • フロントエンド配下だけ React / UI の流儀を足したい
  • インフラ配下では destroy 系コマンドに慎重さを要求したい

Cursor の公式ドキュメントでは、Rules は reusable で scoped な system-level instructions とされていて、Project Rules、User Rules、AGENTS.md が別の仕組みとして整理されています。
GitHub Copilot でも .github/instructions/*.instructions.md のように、パスごとの custom instructions を分けられます。

ここで大事なのは、rules は「全部の作業に毎回読ませる長文メモ」ではない ということです。
条件つきで効かせたいものを切り出すから意味があります。

memoryは「繰り返し出る個人の好み」を持たせる

Memory は、リポジトリの仕様書よりも その人やそのチームが繰り返し使う癖 に向いています。

たとえばこういうものです。

  • 説明は冗長にしすぎない
  • 先に結論を出す
  • テストは最後にまとめて報告する
  • 英語コメントより日本語コメントを優先したい
  • コマンド実行前に一言状況を共有してほしい

Claude Code の memory ドキュメントでは、enterprise policy、project memory、user memory など複数の層が案内されています。
OpenAI Codex 側でも features.memoriesmemories.use_memories などの設定があり、メモリ機能そのものを有効化するか、将来セッションへ注入するかを切り替えられます。

ただし memory は万能ではありません。
実務では、プロジェクト固有の事実 まで memory に背負わせるより、md ファイルや rules に置いた方が安定します。

毎回のプロンプトでしか伝えにくいこともある

ここまで読むと、全部ファイルに書けばいいのでは と思いやすいですが、そうでもありません。

毎回のプロンプトで伝える方がよいものもあります。

  • 今回は調査だけで実装しない
  • 今日中に公開したい
  • リスクが高いので先に差分方針だけ出したい
  • A案よりB案を優先したい
  • 今回は既存UIの見た目を変えたくない

こういうものは、プロジェクト全体の恒久ルールではなく、その時の仕事の条件です。
md ファイルや memory に入れると、次の unrelated な作業まで引きずりやすくなります。

ツールごとに何が違うのか

名前が似ていても、読み方や役割はツールごとに違います。

ツール 主な置き場 見方のポイント
Codex `AGENTS.md`、`AGENTS.override.md`、`~/.codex/config.toml` ディレクトリをたどって instruction chain を作る。fallback filenames や byte 上限も設定できる
Claude Code CLAUDE.md、user memory、enterprise policy project memory と user memory を分けやすい。`/memory` で読まれているファイル確認もできる
Cursor Project Rules、User Rules、`AGENTS.md` `AGENTS.md` はシンプルな代替。条件つきの運用は Rules の方が向く
GitHub Copilot `.github/copilot-instructions.md`、`.github/instructions/*.instructions.md`、`AGENTS.md` repo-wide と path-specific を分けられる。複数指示が合成される前提で書く必要がある

この違いを無視して、うちは AGENTS.md を置いたから全部のツールが同じように読むはず と考えるとズレやすいです。
そのへんの読み込み差分や、書いたのに効かない ときの直し方は AIがルールのmdファイルを無視する原因は?AGENTS.md・CLAUDE.md・Rulesの対応策 もつながります。

何をどこに書くべきか

実務で迷いやすいので、よくある項目を置き場ごとに分けるとこうです。

内容 向いている置き場
このリポジトリは何のサービスか mdファイル
テストコマンド、起動コマンド、デプロイ手順の入口 mdファイル
特定ディレクトリだけの実装ルール rules
SQLや決済系だけで強く出したい注意 rules
説明の長さ、話し方、報告スタイル memory
今日は修正より原因調査を優先する 毎回のプロンプト
今回は本番反映しない 毎回のプロンプト

この切り分けができるだけで、設定がかなり見通しよくなります。

よくある失敗

1. 何でも1ファイルに詰める

長い1ファイルに全部入れると、読みにくいだけでなく、ツール側の読み込み上限や遵守率の問題が出やすくなります。
Codex 公式でも project_doc_max_bytes の上限や、必要なら分割する考え方が案内されています。

2. プロジェクト固有の話を memory に入れすぎる

Memory は継続的な好みに向く一方、特定リポジトリだけの事情を持たせすぎると、別のプロジェクトへ漏れやすくなります。

3. rules を増やしすぎて競合させる

repo-wide の指示、path-specific の指示、agent instructions が多すぎると、どれが効いているか分かりにくくなります。
GitHub Copilot の公式ドキュメントでも、複数 instructions が合わさる前提で、競合を避けるべきだと案内されています。

4. 秘密情報や環境差分を雑に置く

APIキー、管理者URL、個人情報、暫定トークンのようなものは、AI向け設定の置き場に安易に書かない方が安全です。
設定の目的は 前提共有 であって、秘密の保管庫ではありません。

最初に入れるならこれで十分

最初から大げさに作る必要はありません。
まずは次の3つくらいで十分です。

  1. プロジェクトルートの md ファイルに、概要・主要コマンド・危険箇所を書く
  2. 条件つきで強く効かせたい部分だけ rules に切り出す
  3. 自分の説明スタイルや報告の好みだけ memory に持たせる

この3つが分かれているだけで、毎回の長い説明はかなり減ります。

まとめ

AIコーディングで設定すべきものは、mdファイルを作ること そのものではありません。
本当に大事なのは、何をどこに置くとツールが安定して働くか を分けることです。

ざっくり言えば、

  • mdファイルはプロジェクトの前提
  • rulesは条件つきの強い指示
  • memoryは個人の継続的な好み
  • 毎回のプロンプトはその場限りの条件

です。

この4層を分けるだけで、毎回同じ説明をしているのにブレる 状態はかなり減らせます。
さらに md ファイルの書き方そのものを詰めたい場合は、AIコーディングで使うmdファイルとは?AGENTS.md・CLAUDE.md・指示書の役割を整理 から続けて読むとつながりやすいです。


参考リンク

あとで見返すならここで保存

読み終わったあとに残しておきたい記事は、お気に入りからまとめて辿れます。